Home / 恋愛 / 唇に触れる冷たい熱 / 信じているから 5

Share

信じているから 5

Author: 花室 芽苳
last update Huling Na-update: 2025-08-05 20:49:02

 欲を浮べた瞳に見つめられ、私は恥ずかしさに身を捩る。胸からゆっくりと肌の上を移動していく要の手のひら。くびれた腰のラインを確かめて、そのまま下がっていく。

 ……これから彼にされることに期待して、私は唾を飲み込んだ。

 要の手が私の太腿を過ぎて、足首近くに着くと掴まれてそのまま左右に大きく脚を開かれる。分かっていたことだけれど、やっぱり恥ずかしくて……

 すぐに私の脚の間に要が身体を移動させ、閉じさせてもくれない。彼の愛撫によって私がどれだけ欲情して要を欲しがっているのかも、このままではすべてバレてしまうのに。

「待ちきれないって、顔しているな。でも、まだ駄目だ」

 ……駄目って何が? 私はすぐにでも要が欲しいと思っていたし、彼も同じだと思っていたの。

 要は指で私の溢れた蜜をすくい、敏感な場所に触れる。

 刺激を欲しがっていたその場所は、要から与えられる愛撫によってどんどん欲張りになる。

「あっ、ああっ…もっと、あっ…はぁ……」

 これだけでも達しそうだったのに、要は中にも指を侵入させて動かしてくる。一本で慣らすと、すぐに指を増やして私の中を擦る。

 要は私が弱い所はもう全部知っていて、二か所を同時に刺激された私は快感に耐えられず嫌々と首を振った。

「やだぁ……かなめ、これ…むりぃ……っ…」

 だけど私のそんな言葉を聞いて、要《かなめ》は唇を舐めてニッと笑ってみせた。それは普段の彼からは想像出来ない嗜虐的な笑みで、私の身体はビクリと反応してしまう。

「……嫌? 本当に止めてもいいのか、紗綾《さや》」

 そう言って要は私の中の指を動かすことを止めてしまう。抜いてくれればいいのに、わざとらしく二本の指は私の体内に残されたまま。

 先程まで外の敏感な場所を刺激していた指も、今は私の脚の付け根をゆっくり撫でるだけ。それだけでも、私の身体はピクンピクンと動いてしまう。

「どうした。答えろ、本当に止めてもいいのか?」

 酷く焦らされることによりこれより強い快感が欲しくて、理性的でなんていられなくなる。

 今までこういう時は優しかった要、でも全く違う一面を見せられたことで余計に興奮が高まっていく。

「だめぇ…やめちゃ、だめ……んっ、んあっ……もっと、して?」

 要の手によって、どんどん蕩けてしまいそうになっていく身体と思考。強請るように要の身体を引き寄せた。

「そうだ。上手
Patuloy na basahin ang aklat na ito nang libre
I-scan ang code upang i-download ang App
Locked Chapter

Pinakabagong kabanata

  • 唇に触れる冷たい熱   新たな選択に 4

    「……やっぱりそうよね、要だもの」 鞄からスマホを取り出して眺めても、ホーム画面に何ら変化はない。昨日も一昨日も、ここに彼の名前が表示されることはなく。 柊社長に本社勤務の誘いを受けてから、もう二日経つ。返事をするのは早い方が良いに決まっているのに、いまだグズグズ悩んで答えを出せないまま。 仕事に関しては今までハッキリとした決断をしてきたはずの私、なのにどうしてこうも迷うのか。 あの日別れてから、要からは電話もメッセージも来ることはなかった。いつの間にかデスクの引き出しに入れられていた、白い封筒以外は……何も。 それが彼が私に望んでいる【答え】なのだと、気付いてはいるのだけれど。 柊社長から話を聞いているはずの部長が、私が不在になっても大丈夫なように仕事を割り振ってくれてることも有難いと思う。ここまでしてもらえるなんて、自分は恵まれてるんだって。 正直な話、色々な事があったけれど……やっぱり私はこの仕事が、この職場が好きだから。「今日も雨ですねえ、ここのところ空がスッキリしませんね」「そうね、でも……」 横井さんに話しかけられて、天気予報を確認する。確かに明日も明後日も雨予報で、この悪天候は続きそうだだ。「でもね、私は嫌いじゃないのよ。分厚い雲の隙間から少しだけ日が差す瞬間が……まるで、道しるべみたいで」「なるほど、確かにそうですね」 窓の外、指差した辺りに微かな日の光。それを見つめていると、PCからメールの受信音。その送り主が意外な人物で、緊張しながらメッセージを開く。 そこには、一枚の画像ファイル。ただ大きく広がる大地と青空が写し出されて……たったそれだけで、今の彼は過去を振り切って前に進んでるんだと分かるものだった。 一言のメッセージもない。それでもその写真を送ってきた彼に『紗綾も頑張れ!』と、言われてる気がして。「これは負けてられないって、思うしかないじゃない。狡いわね、彬斗君」「……? どうしました、主任。今、嫌な名前が聞こえた気が……」 伊藤君の名前に、露骨に嫌な顔をしだす横井さん。色々助けてくれたし、ちょっとだけメールを見てもらい二人でクスクスと笑い合った。「素直じゃないというか、本当にめんどくさい人ですね。しかもお節介のおまけつき」「ふふふ。でも……こうなったらこっちも受けて立たなきゃ、よね?」「そうですね

  • 唇に触れる冷たい熱   新たな選択に 3

    「……馬鹿なこと、ですか?」 ハッキリと社長に言い切られて、私の怒りが一瞬で戸惑いに変わる。 こんな優しそうな雰囲気なのに、彼は全く遠慮のない言葉で話し続けた。 「そうだね。私が直接話をしに来たので、変な誤解を生んだのかもしれないけれども。そんなくだらない条件で君を本社に呼び寄せる事を、社長である私が承諾すると思うのかい?」 「それは、思いませんけれど。でも……」 要が頼んだのでなければ、いったい何故? 私はまだ本社に行きたいなんて希望は、今まで一度だって出したことなんてないのに。 「確かに君を知ったきっかけは、要君だよ。だけど長松さんの話を聞けば聞くほど、君が仕事熱心で優秀な人材だと知ることが出来たんだ」 「ありがとうございます。でも……」 柊《ひいらぎ》社長が私の事をきちんと評価したうえで、声をかけてくれている事は素直に嬉しい。 今まで何度も躓きながら、それでもこの会社で頑張ってきたのは本当の事だから。 だけどこんなに簡単に要《かなめ》のところまで行ってしまっていいのかと、戸惑っている自分もいて……「意外だな。正直、迷われるとは思わなかったよ。けれども君にとってかなり好条件な話のはずだから、今に気持ちだけで決めずゆっくり考えてみて欲しい」  私がこの話を断ろうとした事に気付いたらしく。 柊社長は返そうとして渡した書類を封筒に入れ直すと、笑顔のまま私の手に持たせてくれる。 ……分かっている。 今、この話を受ければ私はすぐにでも要の傍に行ける。彼と同じ本社で、自信をもって仕事をすることが出来るのだと。 そんな話がこのタイミングで出てきて、嬉しいはずなのに……「いきなり出て来た移動の話に、不安な気持ちがあるのはよくわかるよ。でも長松《ながまつ》さんは、いずれ本社勤務を希望するつもりだったのだろう?」「それは……その通りですけれど」 私が本社を希望する事を、柊社長は要から聞いたのかも知れない。グイグイと笑顔で押されて、私から断るという理由を奪われているようだった。「遅かれ早かれ、君は本社に来るつもりだった。そのチャンスがたまたま今だった。ただ、それだけだよ」 そう言ってニッコリと微笑んでから、柊社長は部屋の扉をさっさと開けた。 それはこの話の終わりを意味していて……「……では、長松さんからの良い返事を期待しているよ」

  • 唇に触れる冷たい熱   新たな選択に 2

     本社にいるはずの柊《ひいらぎ》社長が、なぜここに……? でも、ふと思い出す。 朝一、電話のかかってきたスマホを要《かなめ》に渡した時に画面に映された名前が【宗一郎《しゅういちろう》さん】だったことを。 そしてうちの社長のフルネームは、そう……柊 宗一郎だ。 「ですが、どうして柊社長が支社に?」 「今度はきちんと長松《ながまつ》さんに挨拶しようと思ってね。なんて言ったら、また要君に怒られてしまうかな? ふふ、心配ないよ。今日ここに来たのは、支社の様子を観察しにというのも理由の一つだから」 その言葉で、要のマンションですれ違った老紳士が柊社長だったと言う事に気付かされた。 そして、その時にはもう柊社長は私の事を知っていたと言う事も。 もしかしたら柊社長は、要に早く本社に帰るように説得しに来たのかもしれない。 それには私の存在が邪魔なのだと思ったのだとしたら……? 「でも、私に大事な話があったからここに呼んだのですよね? それは、もしかして要の事……ですか?」 相手が随分年上でしかも社長だと言う事もあって、かなり緊張して息が苦しい。 これから言われる事への不安もあるせいか、心臓がバクバクと痛いほどになって。 きっとこの人には要とのことを反対される、そんな気がしていたから。「ああ、長松《ながまつ》さんは要君をいつも支えてくれているそうで感謝している。あの子はね、君の話をする時だけ、凄く饒舌になるんだ。でも、それは個人的な話で君を呼んだ理由とは違う。とりあえず、そこに座って話そうか」 柊社長に言われ、私は彼が先に座るのを待ってから静かに椅子に腰かけた。 ……てっきり、要との交際を反対されるかと思ったのに。 その話ではないとするならば、いったいなぜ私はここに呼ばれたのかしら? 柊社長はあらかじめテーブルに用意してあった封筒を開けて数枚の書類を取り出すと、それを私に差し出した。 そこにはびっしりと文字が書かれている。まるで何かの契約書のような…… 「単刀直入に言おう。長松 紗綾《さや》さん。君は、うちの本社で働いてみる気はないかね?」「え……?」 一瞬、言われた言葉の意味が分からなくて。 柊《ひいらぎ》社長の顔と、渡された書類の束を交互に見つめてしまう。 私が本社で働く、それって……?「その書類をきちんと読んでもらえれば分かる

  • 唇に触れる冷たい熱   新たな選択に 1

     シャワーを浴びて服を着替え、しっかりと仕事用の自分に変わる。 これからは要を追いかけるつもりだから、もっと気合を入れなくては。 この会社には本社に移動できるチャンスがあるのは社員の誰もが知っている事で、私は無理を承知でそれを希望してみようと思っている。 何年かかっても、彼の傍で堂々と仕事をできる女性になりたいの。 その事について少し話を聞こうと思ったけれど、まだ課長代理の要の姿は見えない。不思議に思っていると、少し慌てた様子で部長がやって来た。「皆、聞いてくれて。急な話になるけれど、課長代理を務めてくれた御堂《みどう》君が……本日、本社に戻る事になったそうだ」 ……え、今なんて? まるで時間が止まったように、私は部長を見つめたまま動けなくて。 だって……今朝まで要と一緒に居たのに、私は何も聞いてない。「挨拶も出来ないで申し訳ないと言っていたよ。しばらくは僕もフォローに回るから、新しい課長が決まるまで皆で協力して欲しい」 いつか要《かなめ》が本社に帰る事は覚悟していたけれど、こんなに急にいなくなるなんて思ってなかった。 どうして? という気持ちでデスクに戻り、カバンからスマホを取り出し確認する。もしかしたら、何かメッセージが入っているかもしれない。そう期待したけれど……スマホの画面には彼からのメッセージも不在着信も残ってはいなかった。 まるで数時間前に触れていた肌の温もりのように、要が私からそっと消えてしまったようだった……「長松《ながまつ》君、ちょっといいかな?」「部長……」 力なく椅子に腰かけて今日の仕事内容を確認していると、いつの間にかデスクの横に立っていた部長に声をかけられる。 「ついて来て」と言われて連れて来られたのは、普段はあまり使われない個別に話を聞くための相談室。 部長は部屋にいる誰かに「連れてきました」とだけ伝えると、私にも中に入るように言った。「失礼します、長松《ながまつ》 紗綾《さや》です」「ああ、知っているよ。私が頼んで、貴女を呼んでもらったのだからね」 部屋の窓の傍にスーツ姿の男性が立っているが、太陽の光がまぶしくてよく見えない。 私を知っているこの人はいったい誰?「あの、すみません。こちらからでは顔がよく見えなくて……」 多分この人は、それなりの役職に就いている方なのではないかしら? 部長

  • 唇に触れる冷たい熱   信じているから 7

     私の頬を擽るように優しく触れる指先。夢心地でその感触を楽しんで「ふふふ」と笑うと、優しかったはずの指先が私の頬を引っ張り出す。 どうやら気持ち良い眠りの時間も、どうやら終わりらしい。「痛いじゃない……そんな起こし方をして欲しいなんて、頼んでないはずだけど?」「紗綾《さや》が狸寝入りなんてするからだろ? それにちゃんと手加減してる」 確かに要《かなめ》の言う通りだけど、前はもっと優しく起こしてくれていたじゃない? 無言で彼をジロリと睨んだ後、ヘッドボードの目覚まし時計を手に取る。 まだ五時前だけど、一度自分の部屋に帰って仕事に行く準備をしなければいけない。 私の腰に回された要の腕をそっと外して起き上がる。 こうして要と気持ちを確認して肌を合わせて、今度こそきちんと自分のこれからを決めることが出来た。 その事を、彼にちゃんと話さなくては。「要は先に本社に戻って欲しい。貴方が戻ってくるのを待っている人を、これ以上待たせるべきじゃないわ」「……それはどういう意味だ、紗綾?」 ずっと悩んでいた、何度も考えて……それでも私はこの答えを選ぶことにした。「今度は私が、要を追いかけることにするわ。貴方に甘やかされてばかりは嫌だから、少しでも近くに行けるように頑張らせて?」 きっと要は私がついて行くと言えば、生活から何まで面倒見てくれるでしょうね。だけどそれは私の望む二人の未来じゃないの。 だから……「時間がかかっても、必ず要を《迎え》に行くから。今度は、貴方が私の事を待っていてくれる?」 先に私を迎えに来てくれたのは要、今度はその役目を私にさせて欲しいの。私がそう言うと、要は私の頬に手を添えて優しく唇を重ねる。そして……「当たり前だろう? ずっと待ってる。俺は紗綾を信じているから……」 額をくっつけるようにして、互いに至近距離で見つめ微笑み合う。こうして今は優しい時間を過ごせるけれど、すぐに要は行ってしまうはず。 頑張ると言ったけれど、離れることに不安が無いわけじゃなくて……「他の女性に言い寄られたり、流されたりしたら許さないんだから」「何を馬鹿な事を……俺はいつだって、紗綾《さや》だけで手一杯だ」 そんな事を話しているうちに、カーテンの隙間から朝日が差し込んでくる。 もう帰らなくては、準備が間に合わなくなってしまう。 ヘッドボード

  • 唇に触れる冷たい熱   信じているから 6

    「あっ、ああっ……! やぁっ、ど、して……かなめ、だめっ…だからぁ!」 私が既に達している事を要は分かっているはずなのに、彼は指の動きを止めようとしない。 敏感な場所に変わらず刺激を受け続ければ、私の中の熱は収まらず身体はビクビクと何度も跳ねる。 そうやって要《かなめ》は強すぎる快感から逃れようとする私を捕まえて、その手でイきっぱなしにさせてしまう。「あんっ……だめっ、おかしく…なるっ、おねが……い。はぁんっ……また、イっちゃ…っんんーー!」 何度達したのかもわからなくなるほど、理性も身体もドロドロに溶かされてしまった私。 その熱に浮かされたように、何度も何度も彼に強請《ねだ》ってしまう。「指は、やだっ……かなめが、いいっ…! おねが、い……もうかなめが、欲しっ…」 こんな淫らな姿の私を見て要だけ冷静でいて欲しくない、貴方も同じように私を欲しがってよ。 大きく開かれた脚の間、奥からは要の事を欲して蜜がとめどなく溢れてくる。「俺が欲しいか、紗綾《さや》?」 要は私の手を取り、自身のスラックスに触れさせる。 そこはすでにはっきりと彼の欲望を表わしていて、要がどれだけ我慢しているのかもすぐに分かった。 こんなになっても耐えて私を先に蕩けさせてしまうなんて、この人は本当に馬鹿だわ……「要が欲しい……ねぇ、早く来て……?」 思いきり甘えた声で、要の背に必死に腕を回して。もう何も考えられなくなるくらい彼に愛されたかった。 そんな私のおねだりに、要も限界だと言わんばかりに眉を寄せて……「ああ、俺も紗綾が欲しい……」 太腿に移動した要の手が私の脚をさらに広げたかと思うと、その奥に彼の欲望が触れた。 宛がわれた要《かなめ》の熱、それだけでこれから彼に与えられる快感を期待して「はあ……」と甘く息を零す。 私が体の力を抜いたのを見計らい、要はいつもよりも乱暴に腰を進めると一気に私の奥まで貫いた。 その衝撃で跳ねる私のつま先、それだけで達しそうになるのを堪えて要に回した腕に力を入れる。そうしていなければ、私がどうにかなってしまいそうだったから。「あ……ぁあっ、かなめ…きって、言って……?」 ゆっくりと私を揺さぶり始めた要に、こんな時ばかり甘える自分は狡いと思いながらも彼からの言葉を強請る。 だってしょうがない、今すぐ欲しくて堪らないの……

Higit pang Kabanata
Galugarin at basahin ang magagandang nobela
Libreng basahin ang magagandang nobela sa GoodNovel app. I-download ang mga librong gusto mo at basahin kahit saan at anumang oras.
Libreng basahin ang mga aklat sa app
I-scan ang code para mabasa sa App
DMCA.com Protection Status